なぜ、成長を実感できないのか? その1

 失われた20年だから、”成長を実感できないって”、なにいってんだ!?ですよね。

 では、デフレ不況と言われた中で日本は成長しなかったのか?ですが、実はそうではありません。アメリカとの比較でみても、実質ベースの成長率ですが、リーマンショックの頃はもちろん、マイナス成長しましたが、それを除くとほぼ成長しています。

 今回は、実質ベースで成長していたにもかかわらず、なぜ経済的な豊かさを実感できなかったのか?という点について、分析してみます。

 まず、疑われるのが、巷で言われているように、企業がお金を企業内にため込んでいるにも関わらず、労働者賃金が下がり続けているからなのでしょうか?

 確かに90年以降総賃金は下がり続けています。

 

 なので、やっぱり、企業が悪い!とするのは、早合点です。

 

 よく考えてみると、不況下でも中小企業の社長さんは頑張って、給与を支払ってきたはずです。70~80%の中小企業が赤字か利益すれすれであるといわれていましたが、そのほぼすべての会社が、ベースダウンはあるにせよ、給与を支払っていたはずです(純付加価値でみると労働分配率がほぼ100%という会社も珍しくなかったかもしれません)。しかも、日本の会社の99%が中小企業です。ここで、もう一つ、付加価値が労働者にどれぐらいの割合で分配されたかを示す、労働分配率をみると違ってきます。

 労働分配率は、90年代以降約70%超を維持しほぼ一定です。

 

 バブル期でも70%を超えたことはないですし、また、通常不況下では、労働分配率は下がる傾向にあるのですが、そんなことはなく、高止まりしており、むしろ識者によっては、これは、将来の投資原資の低下を意味するものであるため、問題視される方もおられます(事実、総固定資本形成は近年減少傾向にあります)。

 

 生活の困窮を、企業のせいにする風潮がありますが、不況下でも、中小企業の社長は労働分配率を高めてまで頑張ってこられたのです。

 

企業に金余りなのは、また後で書きますが、別の理由からです。

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