自動車等の輸出産業は、円安効果により好決算が相次いでいます。さらに、直近で公表された、4-6月期のGDPは、1-3月期に比べ0.6%増の年率2.6%の成長となりました。
それならば総賃金が上昇しているかといえば、一貫して減少傾向にあります。さらに、気になる指標としては、消費は増加したけれども、設備投資はマイナスとなったというところです。
貯蓄=所得-消費=投資
という、経済学の基礎的な恒等式があります。
消費が伸びて、投資が減少しているということは、所得が伸びてはいないのに、消費性向を上昇させることにより、需要を伸ばしているだけである、ということです。
所得が減少し続けている中で、現状のように民間最終支出に頼った成長には、自ずと限界があります。消費の増加に伴い貯蓄率は減少傾向にありますが、それにも限界があるからです。
バブルの頃は、アメリカ人は働きもせずに、浪費してばかりなのに、自分たちの困窮を日本のせいにばかりする、とかなんとか言ってましたが、そのアメリカに迫る勢いで、消費性向が上がってきています。
ただし、日本には国内に1,500兆、国外に500兆合計2,000兆円程度の資産があるといわれてるので、海外に頼らなくても、それを取崩して、投資を行えば、良い状態です。なので、今のところ、ヘッジファンドが日本売りを仕掛けようが、びくともしていないので、そんなにすぐに、限界が来るとは思いませんが、いずれは限界が来るでしょう。ヘッジファンドは、そのような状態を虎視眈々と狙ているので、アベノミクスの成否は国民所得増加にあると言えます。
今回の実質日銀の国債引受によるお金ばらまき政策という、”今までも、実は結構やってたけれども、残された唯一の政策だ”、と言われる政策でも国民所得の減少傾向に歯止めがかからないようなら、成長モデルに限界がきたことを、国内外に知らしめることになり、打つ手なしとなった日本はヘッジファンドの格好の餌食にされるでしょう。
但し、現在日銀は毎年50兆円の国債買いオペを実施するそうなので、そのうち国債のほとんどを日銀が持っている状態になっても、円が暴落しないようなら、問題ないと思いますが、これはこれで、信用創造に関する壮大な実験の一つとして、その結果については、個人的に非常に興味があります。