追補版 その2(マクロ的経営の勧め)

 追補版の続きです。

 

 先ほどの、続きの前に、話の前提として経済政策の難しさについてです。

 

 まず、マクロ経済学の基礎中の基礎となる等価式として、

 

 供給=需要

 

 という式があります。

 

 なので、不採算・不効率な部門であるという理由で、その支出を止めてしまうと、巡り巡って、所得は減少します。

 

 一方で、需要は止めてはならないという理由で収益性無視の0金利政策を長期に渡って継続し、投資を促進し、過剰投資となると、現在のように、収益性が悪化し、供給過剰となるので、デフレ状態となります。

 

 よって、為政者は、社会全体の需要を伸ばすことと同時に収益性も追求しなければなりませんが、両者の政策としては、真逆の政策であるために、難しい経済政策運営が求められます。

 

 

 

 もともと、収益性を追い求めるには、不況時に比べリストラのしやすい好況時に、不採算部門当のリストラをしておけば良いのですが、好況時には、それらに対しては、リスクとして認識されつつも、目をつむられる傾向にあると思います。そして、不況時になり、ようやく以前からリスクとして顕在化していた、部門に対するリストラが叫ばれるのですが、経済全体にとっては、むしろ不況時にこそ、それらを維持すべきなのです。

 

 リーマンショック後、金融円滑化法という法案が施行されましたが、条件変更受付の法による、強制化により、確かに需要面では、下支えがなされたと思います。しかし、もともと市場環境変化に対応しきれていない、不効率な企業救済という側面があったので、市場全体の供給能力はそのままであったために、デフレを促進したという側面もありました。これについては、実務面では諸般の問題があったと思いますが、不況時の政策としては、正しい選択であったと思います。

 

 デフレを、解消するには需要を喚起するか、供給力を調整するかの2方向しかありません。金融円滑化法で維持され、また長きにわたる0金利政策でも増長された市場全体の供給能力で生じたデフレギャップを、今回の政策では、需要を喚起することで埋めようとしていますが、構造的に人口が減少しているため、海外市場の需要を取り込むか、移民を受け入れるか、等の政策により、根本となる構造的な問題を解決しない限り、今の(所得が伸びない中での)消費性向の向上(逆に言えば貯蓄性向の低下)による成長では、経済モデルの恒常性面では、厳しいところがあると思います。

 

 そして、先ほどの続きですが、もし今の政策が成功し、国民所得が増加してきた時こそ重要だと思います。その時こそ、不採算部門のリストラを行うべき時です。

 

 好不況の波に慣れてきているアメリカでは、好況の時に、リストラを行い、来たるべき不況に備え収益性を高めていくそうです。好不況の波は必ず起こることです、日本でも、好不況の波に翻弄されないよう、マクロ的視点から、ミクロ的な経営を志向すべきではないでしょうか?

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