過当競争

 経営者の責任は、「資本金についてだけ課されるのであって、剰余金については、自らの力で獲得したものだから、”タダ金”のようなもので、それに対しては、僅かなプラス収益を上げるだけでその責任を果たしたことになる。」、法的見解からはそうではないですが、日本においては、多くの経営者にそう思われていることから、膨大な無駄な非合理な投資が認可されてきたのでしょうか?

 このような風潮を作った根本的原因は、政府一丸となった護送船団方式により、ガチガチに保護されて、自律的な経営者の育つ土壌の形成を怠ってきたことにあるのではないかと思います。

 

 新政権は、投資促進政策を行おうとしているために、税制面・補助金面でもそれに対するサポートが行われました。しかし、現在のように余剰資金が、企業に有り余っている状況では、日本の経営風土が、上記のような状態であるためにモラル・ハザードが起きやすい状況にあり危険です。再度述べるますが、資本コストは、目に見えない機会費用ですが、もちろん、これらにも経営者責任は課せられています。新政権の初期の政策では、再度、過剰投資による過当競争が起こるのでは?と思っていましたが、今回は、政府も問題の本質を捉えた政策をするのでは?との期待の持てる、税制措置等が加えられるようです。

 

以下抜粋

 

「事業者が、多すぎる業界を国が公表して再編や統合を税制面で支援し、新しい設備の購入費用の一定割合を、法人税額から差し引く。同時に、規制強化で古い設備の更新を企業に迫り、産業の新陳代謝を進める。」

「先端設備の購入費用は、一定割合を法人税から差し引くか、減価償却費の一括での損益算入かを選択」

「事業者が達成すべき生産性やエネルギー効率の向上目標を示す」

「事業者に毎年エネルギー使用状況などの報告を義務付け、取組みが不十分な場合は改善の指導や命令も実施する」

 

 実に、現在の経済状況にあう、理にかなった税制・経済政策です。小泉元首相風に言うと「感動した!」です。これは、投資推進政策ばかりに目をやり一方で、不効率な部門のリストラを怠ってきたことによる弊害を、政府が理解し、方向性を変えたことが主因なのでしょうか?

 

 再度になりますが、デフレ下においては、潜在的供給力を減少させるか、総需要を増加させるしかないのであるし、人口減少経済下において、成長を維持するには、投入資源に対する付加価値を増加していくようなことを志向していかなければならないのですが、先月公表された政策はこれらすべてが盛り込まれています。

 

 さらにアメとムチでふるいにかけるような政策を実施する予定であるようですので、自律した経営者の育成を、政策面から強制的に後押しすることも、副次的にではありますがその効果があると思われます。

 

 政府は財政不安となって、ようやく本質的な問題を解決する方向に変わって行ったようです(そして、そう期待したいです)。

 

 もし、この経済政策を本当に実行するならば、次に変わるべきは経営者マインドですね。

 

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