本当に苦しい会社はどうすれば良いのか?

 金融円滑化法の経済政策論議については、前回若干行いましたが、もちろんその弊害もあるわけで、市中銀行にはそれを原因とする不良債権が某信金の理事長によると38兆円となっているそうです。人口減少で、日本国全体の収益性が低下している現状においては、その回収に係る問題は喫緊の問題のようです。

 

 これに対し、中小企業庁は経済産業省と組んで、認定支援機関制度を設けました。その意図は、それら不良債権にかかわる会社の収益性を改善することにより、そのような債権の非不良債権化を図るのだろうと思っていたので、私も専門家の一人としてその支援にあたろうと思い認定支援機関の認定を受けました。そして、実際の支援実務の窓口となる、経営支援センターの説明会があるとのことで、勇んでセミナーに参加しました。しかしながら、国の意図は全く違っていたようです。

 

 ”経営支援センターの対象となる会社ですが、現状条件変更をしている会社は対象となりません”、その担当者は、中小企業庁が決めた方針に従って、作成した資料を読み上げているだけであろうから、その方に責任はないです。しかし、国はそれらの会社を見捨てたんだということがはっきりしました。

 

 条件変更していない会社で、経営支援センターの支援が必要な会社なんて、そうそうあるはずがない、発足2か月で全国での支援事例は僅か4件であるとのことです、この方針が変わらない限り、この分野に関しての経営支援センターの存在意義はあまりないと思います。

 

 ここで不良債権化しつつある、債権の処理方法ですが、国の方針としては、バブル崩壊後に使った方法をまた使うのではないかと思われます。即ち、金融機関共同出資でファンドを作って、そこに不良債権を丸投げする、これで、金融機関は、また救済されるのでしょう。

 

 このような状況下で、個別の案件についてどのように処理するのかは、不良債権を抱えた各社の担当となる金融機関の融資担当者の気持ち次第ということになります(今流行の「半沢直樹」を思い浮かべてください)。

 債務超過となり、条件変更もして、セーフティーネットも使い、このような会社が事業の継続性を考えて実行できる方策は限られてはいますが、いの一番にすべきことは、戦略を立てるのも当然ですが、戦略云々の前に、財政状態を立て直し止血する策を講じることの方が重要です。考えられる方法としては、私的整理による(DES・DDS・個別債権放棄または支払の無期延期)かM&A(全部または、一部の営業を身売りすることが前提)位だと思います。

 

 財政状態を良くする方法としては、私的整理による方法よりも、再生法等の法的整理による方が、全債権者に対し法の強制力があるため、確実性の高い方法ですが、”倒産のレッテル”も貼られます。また、極度に財政状態が悪化している会社では、自宅まで担保に入れているような場合も珍しくありません。そのような状態ならば、処理後の経営者一家の生存権にも関わってきます。

 

 一方で、私的整理は、交渉相手を選択しての相対契約なので、このようなレッテルを貼られずに、事業を継続することが可能となりうる方策ですし、交渉次第で、自身の生存権を確保したうえでの、処理も可能となるかもしれません。

 

 次回は、具体的な策について、見て行きます。

 

 

 

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